令和3年度から適用される税制改正について

改正項目

  1. 給与所得控除の改正
  2. 所得金額調整控除の創設
  3. 公的年金控除の改正
  4. 基礎控除の改正
  5. 調整控除の改正
  6. 青色申告特別控除の改正
  7. 扶養親族等の所得金額要件の改正
  8. 非課税の範囲の改正
  9. 未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の改正
  10. NISA制度の改正及び延長
  11. 企業年金及び個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
  12. 低未利用地の活用促進
  13. 国立大学法人等に対する個人寄附の促進
  14. 文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用
  15. 住宅借入金等特別税額制度の改正及び住宅借入等特別控除の適用要件の弾力化に係る対応

1.給与所得控除の改正

  • 給与所得控除額が一律10万円引き下げられます
  • 給与所得控除の上限額が適用される給与等の収入金額が1000万円から850万円、その上限額を220万円から195万円に引き下げられます。
  • 特定支出控除が改正されます。
改正後の給与所得控除
収入金額の合計(A) 給与所得

~550,999円

0円

551,000~1,618,999円

A-550,000円
1,619,000~1,619,999円 1,069,000円
1,620,000~1,621,999円 1,070,000円
1,622,000~1,623,999円 1,072,000円
1,624,000~1,627,999円 1,074,000円
1,628,000~1,799,999円 (A÷4)
千円未満切捨
×4×0.6+10万円
1,800,000~3,599,999円 ×4×0.7-8万円
3,600,000~6,599,999円 ×4×0.8-44万円
6,600,000~8,499,999円 A×0.9-1,100,000円
8,500,000円~ A-1,950,000円

2.所得金額調整控除の創設

給与等の収入金額が850万円以上かつ、次の(1)~(3)のいずれかの要件を満たす場合は、所得金額調整控除が給与所得の金額から差し引かれます。

(1)特別障害者に該当する。(2)22歳以下の扶養親族を有する。

(3)特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する。

1.所得金額調整控除=(給与等の収入金額-850万円)×0.1

※給与等の収入金額が1,000万円を超える場合、計算上使用する給与等の収入金額は1,000万円。

また、給与所得と公的年金雑所得があり、その合計金額が10万円を超える場合、所得調整控除として給与所得の金額から差し引かれます。

2.所得金額調整控除=(給与所得+公的年金雑所得)-10万円

※給与所得及び公的年金雑所得が10万円を超える場合は10万円。

1.と2.の控除がある場合、1.の控除後に2.の控除がなされます。

3.公的年金控除の改正

  1. 公的年金所得控除額が一律10万円引き下げられます。
  2. 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195.5万円の上限が設けられます。
  3. 公的年金等に係る雑所得以外の所得が1,000万円以上2,000万円以下の場合、上記1、2の見直し控除額から、さらに、10万円引き下げられます。
  4. 公的年金等に係る雑所得以外の所得が2,000万円を超える場合、上記1、2の見直し控除額から、さらに、20万円引き下げられます。
改正後の公的年金控除
年金受給の年齢

公的年金等の収入金額の合計(B)

雑所得
公的年金等雑所得以外の所得の合計所得金額

1,000万円以下

1,000万円超2,000万円以下

2,000万円超

65

~130万円未満 B-60万円 B-50万円 B-40万円

130万~

410万円未満

B×0.75-27.5万円 B×0.75-17.5万円 B×0.75-7.5万円

410万~770万円未満

B×0.85-68.5万円 B×0.85-58.5万 B×0.85-48.5万

770万~

1,000万円未満

B×0.95-145.5万円 B×0.95-135.5万円 B×0.95-125.5万円
1,000万円以上~ B-195.5万円 B-185.5万円 B-175.5万円

65

~330万円未満 B-110万円 B-100万円 B-90万円
330万~410万円未満 B×0.75-27.5万円 B×0.75-17.5万円 B×0.75-7.5万円
410万~770万円未満 B×0.85-68.5万円 B×0.85-58.5万円 B×0.85-48.5万円
770万~1,000万円未満 B×0.95-145.5万円 B×0.95-135.5万円 B×0.95-125.5万円
1,000万円以上~ B-195.5万円 B-185.5万円 B-175.5万円

(参考)

65歳未満 令和3年度課税(令和2年分所得):昭和31年1月2日以降生まれ

65歳以上 令和3年度課税(令和2年分所得):昭和31年1月1日以前生まれ

4.基礎控除の改正

  • 基礎控除額が一律10万円引き上げられます。
  • 前年の所得が2,400万円を超える所得割の納税義務者は、所得に応じ、控除額が逓減し、2,500万円を超える納税義務者は基礎控除が適用されません。
改正後の基礎控除
個人の合計所得金額 所得税 住民税
2,400万円以下 48万円 43万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円 29万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円 15万円
2,500万円超 0円 0円

5.調整控除の改正

合計所得金額が2,500万円を超える納税義務者は調整控除が適用されないことになりました。

6.青色申告特別控除の改正

青色申告特別控除額が55万円に引き下げられます(現行65万円)。

ただし、仕訳帳及び総勘定元帳について、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律に定めるところにより電磁的記録の備付けおよび保存を行っているか、その年分の確定申告書等の提出をe-taxを使用していれば、従来どおり65万円の控除が受けられます。

7.扶養親族等の所得金額要件の改正

  1. 同一生計配偶者、及び扶養親族の所得要件が10万円引き上げられて、48万円になります。
  2. 配偶者特別控除に該当する者の所得要件が10万円引き上げられます。(合計所得金額:48万円超え133万円以下)
  3. 勤労学生控除に該当する者の所得要件が10万円引き上げられます。(合計所得金額:75万円以下)
  4. 家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する最低保障額が55万円に引き下げられます。

8.非課税の範囲の改正

非課税措置の所得要件が10万円引き上げられ、以下のとおりになります。

「均等割」「所得割」ともに課税されない方

  1. 生活保護法の規定による生活扶助を受けている方(賦課期日1月1日現在)
  2. 障害者、未成年者、寡婦または未婚のひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下の方
  3. 前年の合計所得金額が、次の計算で求めた金額以下の方

(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合

28万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+17万円+10万円

(2)同一生計配偶者または扶養親族がいない場合

28万円+10万円=38万円

「所得割」が課税されない方

前年の合計所得金額が、次の計算で求めた金額以下の方

(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合

35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+32万円+10万円

(2)同一生計配偶者または扶養親族がいない場合

35万円+10万円=45万円

 

9.未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の改正

未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除が見直されました。

  1. 婚姻歴や性別にかかわらず、生計を一にする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者(合計所得金額500万円以下に限る)について、同一の「ひとり親控除」が適用されます。
  2. 上記以外の寡婦については引き続き寡婦控除26万円を適用され、子以外の扶養親族を有する寡婦についても所制限(合計所得金額500万円以下)をします。
  3. ひとり親控除及び寡婦控除のいずれについても、住民税の続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」の記載がある方は対象外となります。
本人が女性の場合(改正後)
配偶関係 死別 離別 未婚のひとり親

本人所得

(合計所得金額)

500万円以下

500万円超

500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超
扶養親族 30万円 30万円 30万円

子以外

26万円

26万円
26万円

本人が男性の場合(改正後)

配偶関係 死別 離別 未婚のひとり親
本人所得(合計所得金額) 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超
扶養親族 30万円 30万円 30万円
子以外

 

10.NISA制度の改正及び延長

  1. 積立NISAを5年延長します(令和5年度まで20年の積立期間を確保)。
  2. 一般NISAについては、一階で積立投資を行っている場合には二階で別枠の非課税投資を可能とする二階建ての制度に見直した上で、5年延長されます。
  3. ジュニアNISAについては、延長せずに令和5年度末で終了します。

11.企業年金及び個人年金制度の見直しに伴う税制上の所要の措置

私的年金の改正が予定されており、予定された改正に合わせて、現行の税制上の措置を引き続き適用されます。

 

12.低未利用地の活用促進

低未利用の譲渡(親族間譲渡は除く)をした場合は、低未利用地の譲渡益から100万円を控除することができます。

主な要件については、以下のとおりです。

  1. 譲渡価額がその上にある建物等を含めて500万円以下の譲渡であること。
  2. 所有期間が5年を超えること。
  3. その低未利用地が都市計画区域内に所在すること。
  4. 低未利用地であったこと及び譲渡後の土地の利用について市区町村長が確認した書類が確定申告書に添付されていること。

13.国立大学法人等に対する個人寄附の促進

国立大学法人等への個人寄附について、その寄附収入がイノベーティブな研究に挑戦する若手研究者への研究費助成事業等に充てられる場合には、税額控除が選択できます。

14.文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用

  • 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止等した文化芸術・スポーツイベントのチケットを払い戻さず「寄附」することにより、 税優遇を受けられる制度が新設されました。
  • 観客等が指定行事(注1)の中止等により生じた入場料金等の払戻請求権の全部又は一部の放棄を令和2年2月1日から令和3年12月31日までの期間(指定期間)内にした場合には、観客等がその年の指定期間内において放棄をした部分の入場料金等の払戻請求権の価額(注2)の合計額(最高20万円)について、寄附金控除の対象(所得控除・税額控除)とすることとされました。

    (注1)「指定行事」とは、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催予定であった文化芸術・スポーツに関する行事のうち、新型コロナウイルス感染症が発生したことによる政府からの要請を受けて中止等を行った行事であると認められるものとして文部科学大臣が指定するものとされており、具体的には、文化庁・スポーツ庁のホームページに公表される予定です。

    (注2)特定寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金の額(現行の寄附金控除の対象として控除可能なもの)やその放棄をした者に特別の利益が及ぶと認められものの金額を除きます。

  • この特例の適用を受けるためには、放棄をした翌年の確定申告において、原則として、確定申告書に次の書類を添付する必要があります。主催者からこれらの証明書の交付を受けてください。

     指定行事認定証明書(指定行事に該当することその他一定の事実を証する書類)の写し
    払戻請求権放棄証明書(放棄をした入場料金等の払戻請求権の価額その他一定の事実を証する書類)

15.住宅借入金等特別税額制度の改正及び住宅借入等特別控除の適用要件の弾力化に係る対応

新型コロナウイルス感染症の影響で、工事が遅延したことなどにより、適用要件である入居期限要件に満たなくても、一定の要件を満たせば適用を受けることができます。

この記事に関するお問い合わせ先

税務課 市民税係

〒993-8601
山形県長井市栄町1番1号
電話番号:0238-82-8006 ファックス:0238-87-3365


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