令和3年6月市議会定例会 意見書

令和3年6月市議会定例会で議決された意見書は下記の1件です。

最低賃金の引き上げ・格差解消と中小企業支援の拡充を求める意見書

  

最低賃金の引き上げ・格差解消と中小企業支援の拡充を求める意見書

厳しい経済状態にコロナ禍が追い打ちをかけ、山形県も含め深刻な危機に直面しています。こうした中で、現在の山形県最低賃金は時間給793円となっています。この額では、厚労省が最賃決定の際に定める月間労働時間173.8時間働いても14万円足らずであり、個人が自立して生活を維持することは困難です。しかも、東京都の最低賃金1,013円との格差は220円となります。こうした状態では、労働力が地方から都市部へ流出し、地方の人口減少が加速します。

現下のコロナ禍において、医療、介護、保育、清掃、小売り、物流など国民生活に不可欠な分野に働く労働者ほど、その多くが最低賃金近傍の低賃金で働いていることが浮き彫りになりました。そうした低賃金労働者の賃金を底上げして、コロナ禍の国民生活を支えている労苦に報いることが求められます。

労働基準法は第1条で「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」としており、最低賃金法第9条は労働者の生計費について、「労働者の健康で文化的な生活を営むことができるよう」にと定めています。

中小企業・小規模事業者の状態も、コロナ禍により従来にもまして困難に見舞われており、支援の拡充なしには最低賃金の引き上げはできません。最低賃金引き上げのための現行制度としては、「業務改善助成金」制度がありますが、2019年度(令和元年度)で申請した県内の企業は16件にすぎません。対象の拡大や要件の緩和、助成額の引き上げ、助成方法の見直しなど、大胆に改善を行うことが求められています。諸外国が施行している社会保険料・税の事業主負担の軽減や賃金の直接助成こそ必要です。いずれにせよ、事業者の意見も聞きながら、賃金改善を実行するモチベーションとなるような支援制度に改善する必要があります。また、下請け企業への単価切り下げなどの押しつけが行われないよう、公正取引ルールを確立することも重要です。

私たちはコロナ禍によって、人口の過度な集中が都市部のあちこちで「三密」の状態をつくりだし、コロナの感染拡大のリスクをきわめて高くしていることを実感しました。労働力を集中させず、地方に分散して地方でも働き続け住み続けられるためにも、全国一律最賃制の確立で格差解消が求められています。

生まれ育った地域で働き生き続けられる地域社会をつくるためにも、地域間格差をなくしていく方向をめざすべきと考えます。

以上の趣旨について、下記の事項が早期に実現されるよう強く求めます。

 

 

1 全ての働く人に人間らしい生活を保障するため、最低賃金を大幅に引き上げること。

 

2 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策をすすめること。

 

3 最低賃金の引き上げを円滑にするため、中小企業の支援策を拡充すること。中小企業の負担を軽減するための直接支援として、社会保険料負担や税の減免制度を実現すること。

 

4 雇用の創出と安定に資する政策を実施すること。

 

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 

令和3年6月28日

 

山形県長井市議会

 

 

内閣総理大臣 菅 義 偉 様

厚生労働大臣 田 村 憲 久 様

 

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