平成20年12月市議会定例会 意見書

平成20年12月市議会定例会で議決された意見書は下記の7件です。

基礎年金財源における政府負担の確実な実現を求める意見書

 平成16年年金改正は、基礎年金における国庫負担の割合を3分の1から2分の1へ引き上げることを約束し、平成16年度から着手し平成21年度までに完了するとしました。その財源とも称して定率減税(所得税と個人住民税合わせて3兆3,000億円)は、既に廃止されています。
 国庫負担を2分の1にするための財源は約2兆3,000億円とされていますが、来年度予算編成における厚労省の概算要求では財源の目処がつかないとして盛り込まれないことになり、年末に向けて検討されることになっています。このことによって、来年度当初の達成はもちろん来年度中の達成も不透明であると言わざるを得ません。
 しかし、この問題は平成12年の年金改正以来の課題であり、100年間を見通して社会経済と調和した持続可能な制度の構築と制度の信頼の確保策として16年改正の目玉となったもので、「国庫負担割合の達成はできませんでした」では済まないものです。
 他方、必要財源額は消費税のほぼ1%に当たることから消費税増税の動きもみられます。しかし、国民は既に定率減税廃止という負担をしているのであって、仮にそれで財源が不足しているとするのなら、定率減税を導入した時に行われた法人税率引き下げを元に戻し、その後の証券税制の時限立法を即時やめるべきです。
 よって、年金制度の安定と信頼を築くべく下記事項について強く要望いたします。

  1. 基礎年金に対する国庫負担割合を平成21年度中に2分の1にすること。
  2. その際、消費税の増税で対応しないこと。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
財務大臣           中川 昭一 様
厚生労働大臣     舛添 要一 様

 

障害者権利条約の早期批准を求める意見書

 国連障害者権利条約は、2006年12月13日に第61回国連総会本会議において採択され、2008年5月に発効されました。この条約は、障がい者の人権の尊重と実施に向けての政府の義務を明確に宣言しており、すべての障がい者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享受を促進し、保護し、及び確保すること並びに障がい者固有の尊厳の尊重を促進することを目的としています。
 日本政府も既に2007年9月に署名を行っていますが、この条約を早急に批准し、条約にある障がい者の権利がまっとうできるよう国内法制度を整備すべきです。
 その際、条約の実現においては、障がい者の参加が重要であることは言うまでもなく、その度合いが条約の実効性を大きく左右します。また、政府は条約締結に向けて、条約に照らして国内法令や行政慣行をしっかり吟味し、条約規定に抵触する部分があれば、それを早急に変更しなければなりません。さらに、条約の趣旨・目的を一層効果的に実現するために必要な立法・行政措置を積極的に講ずるべきであります。
 よって、下記事項について強く要望いたします。

  1. 国連障害者権利条約を早急に批准すること。
  2. 条約締結に向けて、条約に照らして国内法令や行政慣行を見直すこと。
  3. 条約の趣旨や目的を実現するために必要な立法・行政措置を積極的に講ずること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野    洋平 様
参議院議長        江田    五月 様
内閣総理大臣     麻生    太郎 様
外務大臣           中曽根 弘文 様
文部科学大臣     塩谷       立 様
厚生労働大臣     舛添    要一 様

 

産科医及び周産期施設の充実を求める意見書

 総合周産期母子医療センターである都立墨東病院等の妊婦受け入れ拒否問題で、この数年問題となっている産科医及び施設不足が改めてクローズアップされました。政府は、喫緊の課題となった医師不足に対応するため医学部定員を増やすことやIT化の推進等の対策を表明しています。
 しかし、現在問題となっている産科救急問題は、基本的に人員不足があり、さらに厚労省も発表したようにNICU(新生児特定集中治療室)が慢性的に満床であり、多数の病院で重症妊婦を受け入れることができないことに原因があります。
 NICUが常に満床であるということは、低出生体重児の増加等の要因に加え、NICUを出た後の「後方ベッド」が整備されていないことや医師や看護師不足のためNICUを増床できないということにあります。
 この数年、分娩数を上回る産科医の急速な減少が起こっており、日本産婦人科医会の調査では、お産を扱う病院が全国で104施設(8%)も減っています。
 今日、産科医の勤務は過労死認定レベルを超える水準となっており、日本産婦人科学会の産婦人科勤務医・在院時間調査によると、診療や待機などで拘束されている時間は月300時間を超え、中には500時間を超えるものもあります。
 このような現状を見るならば、周産期医療に医療資源を可能な限り増やす努力をしなければなりません。
 よって、少子化時代にあって不安なく出産ができる体制充実に向け、下記事項について強く要望いたします。

  1. 産科医をはじめとする医療従事者の労働環境を整備し、人員を増やすこと。
  2. NICUや後方ベッドの整備に努めること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
財務大臣           中川 昭一 様
厚生労働大臣     舛添 要一 様

 

介護療養病床廃止の中止を求める意見書

 政府は、第164通常国会において「医療制度改革関連法」を成立させ、2012年3月末で12万床の介護療養病床を廃止し、2006年現在23万床ある医療療養病床(回復期リハビリテーション病棟を除く)を15万床に削減することとしました。
 しかし、厚生労働省が一昨年まとめた都道府県の「療養病床アンケート調査」では、「日中・夜間とも自宅では介護できる人がいない」との回答が、医療療養病床では54.3%、介護療養病床では61.4%にも上っています。
 また、同調査では、医療療養病床における医療区分1のうち、最低でも59.7%の患者が都道府県で例示した医療処置を実施しており、介護療養病床における医療区分1のうち、最低でも58.4%の患者が都道府県が例示した医療処置を実施していることが判明しています。
 こうした中で、医療療養病床については、今年都道府県が策定した2012年度の療養病床の目標数が現在の医療療養病床とほぼ同じ22万床となり、医療現場や患者の状況を踏まえて、政府はこれを追認することとしています。
 しかし、介護療養病床についても、現場や患者からは廃止の中止を求める声が大きく広がっているにもかかわらず、未だ中止には至っていません。
 介護療養病床の転換先として、介護療養型老人保健施設などが示されていますが、介護療養型老人保健施設は、夜間の医師や看護職員の配置が手薄くなるなど現在の介護療養病床のように必要な医療を提供することは困難です。
 このまま介護療養病床が廃止されれば、どこにも行き場のない、いわゆる「医療難民」「介護難民」が各地であふれることは明らかです。
 ついては、地域住民が、いつでも、どこでも安心して必要な入院医療を受けられるようにするために、下記の事項について強く要望いたします。

  1. 介護療養病床廃止計画を中止すること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
財務大臣           中川 昭一 様
厚生労働大臣     舛添 要一 様

 

国による公的森林整備の推進と国有林野事業の 健全化を求める意見書

 近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中、グローバル化する森林の役割に対する要請が高まるなど、環境資源としての森林に対する期待が寄せられる一方で、森林経営は脆弱化し、その担い手である山村は崩壊の危機に直面しています。
 このような中、水源林等公益森林の整備に対しては、今後、国等の公的機関の役割がますます重要になってきています。また、山村については、過疎化・高齢化が進み、その活力が低下する中、林業生産活動を通して、その再生を図ることが地域政策上極めて重要になっています。
 このような時期に、国有林野事業は、いわゆる「行政改革推進法(平成18年6月)」に基づき、特別会計制度を廃止し、独立行政法人と一般会計に二分化するという業務・組織の見直しが予定されています。また、一方で、旧独立行政法人緑資源機構は「独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月)」に基づき、平成19年度末で解散し、水源林造成事業は、独立行政法人森林総合研究所に継承されるなどの措置が講じられたところです。
 今後の林政の展開にあたっては、森林吸収源対策の推進はもとより、特に国有林野事業において、安全で安心できる国民の暮らしを守るため、重要な役割を果たす水源林等公益森林の整備、さらには、地域林業・材木産業の振興を通じた山村の活性化に十分に寄与できるよう下記事項の実現を強く要望いたします。

  1. 森林吸収源対策を着実に推進するための環境税等、税制上の措置を含めた安定的な財源を確保するとともに、林業・木材産業の振興施策の推進と森林所有者の負担軽減措置により、森林経営意欲を創出すること。
  2. 緑の雇用対策等、森林・林業担い手対策の拡充、施業の集約化、路網の整備・機械化の推進等による効率的・安定的な木材供給体制を確保すること。
  3. 木材のバイオマス利用の促進等により、間伐材を含む地域材の需要拡大対策を推進し、地域林業・木材産業を振興すること。
  4. 水源林造成事業を含めた公的森林整備を計画的に推進するための組織体制を確保するとともに、施業放棄地等、民間による森林整備が困難な地域においては、国の関与による森林整備制度を創設すること。
  5. 国有林野事業については、国民共有の財産である国有林を適正に管理するとともに公益的機能を一層発揮させるため、国自らが一般会計において管理運営を行い、そのことを通じて、地域における森林・林業担い手の育成と地域活性化に寄与すること。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
財務大臣           中川 昭一 様
農林水産大臣     石破    茂 様
環境大臣           斉藤 鉄夫 様
林野庁長官        内藤 邦男 様

 

金融不況対策において雇用や中小企業の安定を前提に打開策を図ることを求める意見書

 米国発のサブプライムローン問題に端を発して世界中が証券をはじめとする金融不信に陥り、そのことによって経済は一気に不況局面に変わり、しかもその底が見えない未曾有の危機だとして不安感が増しています。
 すでに、各国政府は金融対策などの梃入れを始めています。しかし、その対策において重要なことは、何よりも雇用の安定と中小企業の存続です。米国流のグローバリズムの下で、富の集中が進み、景気拡大時期にあっても雇用は非正規雇用の増大でしかなく、中小企業も景気の恩恵に浴することがきませんでした。
 しかし、いったん不況になると真っ先に犠牲になるのは労働者の雇用であり、中小企業です。すでに、続々と派遣等の非正規労働者の雇用が打ち切られる報道が続いています。また、資金繰りに苦しむ中小企業の現状も報道されています。
 かつて、米国による執拗な構造改革によって、日本の金融システムは護送船団方式と批判され、根底から変えられてしまいました。自己資本比率目標によって、間接金融から直接金融に根本的に変えられました。そのことによって、モノづくりよりカネがカネを生む投機がもてはやされる風潮を招き、雇用も非正規雇用がまかり通るようになっています。
 今次不況対策においても同じことが繰り返されるならば、安定した雇用はますますなくなり、中小企業の切捨てにつながります。それらの結果として、年金等の社会制度は、ますますその基盤を掘り崩されるのは必至です。
 よって、不況対策において、雇用と中小企業の存立基盤の安定を優先させるため、下記事項の実現について強く要望いたします。

  1. 労働者の雇用を守るためにリストラに歯止めをかけるとともに、雇用保険制度の6兆円の積立金を活用して失業した労働者の生活保障と再就職への支援の行うこと。
  2. 貸し渋りや貸しはがしなどをやめさせ、中小企業への資金供給を担保すること。
  3. 円高によるツケを中小企業に転嫁しないこと。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
財務大臣           中川 昭一 様
厚生労働大臣     舛添 要一 様
経済産業大臣     二階 俊博 様

 

「労働者派遣法」の抜本的改正を求める意見書

 全国的に広がる格差、貧困、ワーキングプア等に関する問題は、各メディアでも報道され、また政府機関による各種調査によってもその実態が明らかになっています。
 少子高齢化の進展とともに、雇用、とりわけ非正規労働者の問題は深刻で、それが根源となって、地域社会、家族及び年金、医療並びに介護等の社会保障制度全体が崩壊の危機に直面しています。
 これらの解決策の一日も早い実施が待たれますが、中でも規制緩和により拡大された低賃金、無権利の派遣労働者に対する規制の再強化は、第一に実施すべき問題であります。
 よって、下記事項のとおり、「労働者派遣法」の抜本的改正を強く要望いたします。

  1. 派遣労働者は「労働者派遣法」制定時の専門業務に限定すること。
  2. 登録型を禁止して常用型派遣とし、製造業など一般業務は禁止すること。
  3. 違反者に対する罰則強化等、抜本的改正を行うこと。


以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

平成20年12月19日

山形県長井市議会

衆議院議長        河野 洋平 様
参議院議長        江田 五月 様
内閣総理大臣     麻生 太郎 様
厚生労働大臣     舛添 要一 様
経済産業大臣     二階 俊博 様

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局 議事・調査係

〒993-8601
山形県長井市栄町1番1号
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