平成21年3月市議会定例会 意見書

平成21年3月市議会定例会で議決された意見書は下記の3件です。

「労働者派遣法」の抜本的改正を求める意見書

 「貧困と格差」の拡大が社会問題となり、その深刻な実態も数多く報道されています。今や、非正規雇用労働者は全雇用労働者の3割を超え、本県においてもその比率は一段と高まっています。こうした非正規雇用労働者の増大に伴い、働いても働いても生活困窮に陥る「ワーキングプア」は1千万人を超え、住居を持てずに「ネットカフェ」などに寝泊りせざるを得ない事態が進行しています。
 こうした極度の貧困化に拍車をかけているのが、現在社会的な大問題となっている「派遣切り」です。最近の厚生労働省の発表によれば、3月末までに全国で12万5千人もの派遣労働者など不安定な雇用形態にある非正規雇用労働者が、契約解除や雇い止めに直面しています。本県でも3月末までに4,205人もの派遣など非正規雇用労働者が職を失うことが明らかになっています。これは全国第7位の多さであり、しかも実態はこの程度にとどまらず、県内各自治体の調査によれば、一つの自治体だけで数百人から数千人規模で人員削減が行われる例もあり、大量の労働者が路頭に迷うことになります。
 これは、アメリカ発の世界的な金融不安による急激な景気の悪化を直接の原因としていますが、このように人間をモノのように使い捨てる事態が横行しているのは、労働者派遣を歯止めなしに拡大し、雇用の調整弁に使ってきた結果に他なりません。「常用雇用を派遣に置き換えてはならない」という法の建前も崩され、偽装派遣や二重派遣、労災隠しなどが頻発しました。「低コストで必要なときに必要なだけ調達できる便利な労働力」として日雇い派遣も拡大しました。
 こうした事態を打開し雇用の安定を図るには、「日雇い派遣」「登録型派遣」を禁止することはもちろん、製造業も含め派遣労働者を原則禁止とし、1999年の法改正以前の状態に戻すなど、労働者派遣法を抜本的に改正することが不可欠です。雇用の原則は「直接雇用」です。雇用責任があいまいとなる派遣労働は「臨時的・一時的」なものに限定すべきであり、正社員・常用雇用の代替にしてはならないと考えます。
 よって、「労働者派遣法」の抜本的改正を強く要望いたします。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

 平成21年3月25日

山形県長井市議会


衆議院議長     河野 洋平 様
参議院議長     江田 五月 様
内閣総理大臣  麻生 太郎 様
厚生労働大臣  舛添 要一 様
経済産業大臣  二階 俊博 様

 

「協同労働の協同組合法」(仮称)の速やかな制定を求める意見書

 急速な少子・高齢化により、年金・医療・福祉などの社会保障制度はもちろんのこと、労働環境にも大きな変化の波が押し寄せ、働くことに困難を抱える人々が増加し、社会問題となっています。また、近年の急速な構造改革により、経済、雇用、産業などの様々な分野や地域間において格差が生じ、とりわけ労働環境の問題は深刻さを増しており、失業と合わせて、「ワーキングプア」、「ネットカフェ難民」、「偽装請負」など新たな貧困と労働商品化が広がっています。さらには、障がいを抱える人々や、社会とのつながりをつくれない若者など、働きたくても働けない人々の増大は、日本全国を覆う共通した課題です。
 こうした中、市民自身が協同で地域に必要なサービスを事業化し、社会に貢献する喜びや尊厳を大切にして働き、人と人とのつながりとコミュニティの再生を目指す「協同労働」という新しい働き方が注目されています。地域社会においても自由競争を前提とした経済システムの中では成り立ちにくい「安全な食、高齢者支援、子育て支援、環境保全、障がい者の就労」などに関する非営利事業へのニーズが飛躍的に高まっている状況にあります。また、労働者協同組合(ワーカーズコープ)、ワーカーズコレクティブ、農村女性ワーカーズ、障がい者団体などにおいて、多くの人々がこの「協同労働」に携わっており、その波は日本社会に着実に広がりつつあります。
 しかしながら、日本は、「協同労働」の協同組合制度を承認する他のG7各国と異なり、働く人、利用者及び支援者が協同して新しい事業とその経営組織を生み出し、また、振興するための法制度がない状況にあります。すでに、欧州では、「社会的協同組合法」(イタリア)、「生産労働者協同組合法」(フランス)などの名称で、失業や社会的排除、貧困に苦しむ市民や仕事を求める人々にとって、仕事おこし、地域再生を図る有効な制度となっており、日本においても、国会での法制化の検討が始まっています。
 よって、国会及び政府においては、社会の実情を踏まえ、市民活動の側面のみならず、新しい労働のあり方や就労の創出、地域の再生、少子・高齢化に対応する有力な制度として、「協同労働の協同組合法」(仮称)を速やかに制定するよう強く要望いたします。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

 平成21年3月25日

山形県長井市議会


衆議院議長     河野 洋平 様
参議院議長     江田 五月 様
内閣総理大臣  麻生 太郎 様
総務大臣        鳩山 邦夫 様
厚生労働大臣  舛添 要一 様
経済産業大臣  二階 俊博 様

 

市議会議員年金制度の安定的運営の確保を求める意見書

 地方議会議員の年金制度は、40年を超える歴史を有し、退職後の議員及びその遺族の生活の安定を図るうえで大きな役割を果たしてきています。
 しかしながら、市町村議会議員の年金財政は、近年急激に悪化し、平成23年には積立金が枯渇し、破綻が確実視されています。
これは、平成の大合併の大規模かつ急速な進展等により、年金財政の支え手である市町村議会議員が短期間のうちに4割減少するとともに、年金受給者が2割増加したことによるものです。
 市議会議員年金では、議員が1割増加したものの、旧町村議会議員としての年金受給者の受入れ等により年金受給者が2倍以上へと大幅に増加し、1人の会員が3人の受給者を支える、極めて不均衡な状態にあります。
 合併特例法では、このような合併の進展に伴う市議会議員年金財政への影響に配慮するため、「その健全な運営を図るため必要な措置を講ずるものとする」と規定しているところであり、平成18年の地方公務員等共済組合法の改正では、自助努力の限界ともいえる掛金の引上げ、給付の引下げを行うとともに、合併特例法の規定に基づく激変緩和措置が講じられたところでありますが、この激変緩和措置では市議会議員年金財政の安定化を図るためには不十分であったと言わざるを得ません。
 よって、国の責任において、将来にわたり安定的な年金給付が可能となるよう、早急に、合併特例法の規定に基づく激変緩和措置を強化するなど市議会議員年金制度の安定的運営の確保に向けた適切な措置を講ずるよう強く求めます。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。

 平成21年3月25日

山形県長井市議会


衆議院議長     河 野 洋 平 様
参議院議長     江 田 五 月 様
内閣総理大臣  麻 生 太 郎 様
総務大臣        鳩 山 邦 夫 様

 

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