平成21年6月市議会定例会 意見書

平成21年6月市議会定例会で議決された意見書は下記の3件です。
 

教育予算の拡充を求める意見書

 子どもたちに豊かな教育を保障することは、社会の基盤作りにとってきわめて重要なことです。現在の社会経済不安の中で、貧困と格差は、世代間に引き継がれている状況があり、経済的な理由から高校生の中途退学者も増えています。日本の子どもに関する公的支出は先進国最低レベルとなっており、諸外国並みに、家計基盤の弱い家庭への子どもに係る給付拡充などの施策の実施が必要です。また、家庭の所得の違いによって、子どもたちの教育や進路に影響がでないための、高校教育の無償化、就学援助・奨学金制度の抜本的拡充など、公教育の基盤充実が不可欠です。
 しかしながら、義務教育費国庫負担金の負担割合が2分の1から3分の1に縮小されたことや地方交付税削減の影響、厳しい地方財政の状況などから、自治体において教育予算の確保が困難となっており、少人数教育の推進、学校施設、旅費・教材費、就学援助・奨学金制度など拡がる教育条件の自治体間格差の是正が急務です。
 また、「子どもと向き合う時間の確保」のための施策と文科省による「勤務実態調査」で現れた極めて厳しい教職員の勤務実態の改善が喫緊課題となっています。
 自治体の財政力や保護者の所得の違いによって、子どもたちが受ける「教育水準」に格差があってはなりません。
 教育予算を国全体として、しっかりと確保・充実させる必要があることから、以下の事項の実現について強く要望いたします。

  1. 「子どもと向き合う時間の確保」をはかり、きめの細かい教育の実現のために、第8次義務教育諸学校教職員定数改善計画を策定し実施すること。
  2. 教育の自治体間格差を生じさせないために、義務教育費国庫負担制度について、国負担率を2分の1に復元することを含め制度を堅持すること。
  3. 家庭の所得の違いによって子どもたちの教育や進路に影響がでないよう、就学援助制度を拡充すること。また、そのための国の予算措置を行うこと。あわせて、奨学金制度について、「貸与」から「給付」方式 に改善すること。
  4. 学校施設整備費、教材費、図書費、旅費、学校・通学路の安全対策など、教育予算の充実のため、地方交付税を含む国の予算を拡充すること。
  5. 教職員に人材を確保するため、教職員給与の財源を確保・充実すること。あわせて、40年振りに実施した文科省の勤務実態調査の結果を施策に反映し、実効ある超勤縮減対策を行うこと。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成21年6月19日

山形県長井市議会


 衆議院議長     河野 洋平 様
 参議院議長     江田 五月 様
 内閣総理大臣  麻生 太郎 様
 総務大臣        佐藤    勉 様
 財務大臣        与謝野 馨 様
 文部科学大臣  塩谷    立 様

 

勤労者貧困層の解消に向けた社会的セーフティネットの再構築を求める意見書

 パート・派遣労働者などの非正規労働者は、現在、約1,800万人と労働者全体の3分の1を超え、しかも不安定雇用と低賃金のため、生活保護基準以下の収入で暮らすワーキング・プアなどが増大しています。また、年収200万円以下の就労者が1,000万人を超え、生活保護世帯も116万世帯まで増加するなど、かつて多数を占めていた中間層が二極化し、格差拡大にとどまらず、今や貧困問題が深刻な社会問題となっています。
 こうした中で、国民年金や国民健康保険の未納者の増大に示されるように、わが国の社会的セーフティネットの中核をなす社会保険制度から排除される貧困層が増大しており、また、低所得者、貧困層の「最後の砦」であるべき生活保護制度も稼動年齢などを理由に申請自体を拒否されるなど、本来の機能を果たしていません。まさに、雇用・社会保険・公的扶助による社会的セーフティネットが機能不全に陥っていると言わざるを得ません。
 こうした状況を放置すると、社会保障の税負担の担い手が減少するばかりか、総合研究機構(NIRA)が研究報告で明らかにしているとおり、無年金者が増大し、19兆円を超える生活保護費の追加負担が将来発生することになります。
 このようなことから、格差社会是正と勤労者貧困層の解消に向け、すべての国民に仕事を通じた社会参加と所得保障を確立するための積極的な雇用労働政策と社会保障政策の連携による社会的セーフティネットの再構築が求められています。
 つきましては、わが国社会の持続的発展と社会的セーフティネットの再構築による福祉社会の確立のため、下記の政策の確立と実施を求めます。

  1. パート・派遣労働者などの非正規労働者への社会保険・労働保険の完全適用と給付改善など、積極的雇用政策と連動した社会保険ネットの機能強化を図ること。
  2. 雇用保険と生活保護制度との中間に、新たな「就労、生活支援給付制度」(仮称)を創設し、長期失業者や日雇い派遣など低賃金の非正規労働者、母子世帯の母親への職業訓練など、就労、自立支援を行うこと。
  3. 住宅補助や医療・介護費補助制度の新設(住宅扶助、医療扶助の社会手当化、単給化等)を含め、生活保護制度が福祉の「最後の砦」として十分機能を発揮できるよう「生活保障制度」として抜本改革を行うこと。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成21年6月19日

山形県長井市議会


 衆議院議長     河野 洋平 様
 参議院議長     江田 五月 様
 内閣総理大臣  麻生 太郎 様
 財務大臣        与謝野 馨 様
 厚生労働大臣  舛添 要一 様

 

国道113号「鷹ノ巣道路」の整備促進を求める意見書

 一般国道113号は、日本海側の新潟都市圏と太平洋側の仙台都市圏を最短ルートで結ぶ総延長約232キロメートルの広域的な交通需要に寄与する主要な幹線道路であり、新潟、山形南部の産業、経済、文化の交流や観光開発等において大きな役割を担うとともに、地域においては生活道路となる極めて重要な路線です。
 しかし、新潟と山形の県境を含め、山間部においては地形が急峻で、現道部分の幅員が狭小であること、道路の線形が厳しく、交通事故や冬季間の通行障害などが発生している状況にあります。また、災害時等には、他に迂回路が無いことから沿線地域の生活に大きな影響を及ぼす状況にあり、道路の安全性の確保は、極めて重要な課題となっています。
 これらの課題の解消と日本海東北自動車道、東北中央自動車道等の高規格幹線道路を補完し、物資の流通、人の交流の活発化を促し、新潟県村上地方生活圏と山形県米沢地域集積圏の交流を図る道路として、平成6年に地域高規格道路「新潟山形南部連絡道路」が計画路線として指定を受け、その整備が進められてきました。今年3月には「荒川道路」と「赤湯バイパス」の供用が開始され、また、山形県長井市今泉~南陽市竹原間(国道113号「梨郷道路」)の事業化が決定されるなど、全線整備に向け弾みがついてきました。
 しかし、今年3月31日に公表された直轄整備路線の交通需要予測の再評価(費用便益比の点検結果)で、国道113号「鷹巣ノ道路」については、費用対効果比率が「1」に達しないため、平成21年度の事業執行が当面見送られるという結果になり、この結果に対して震撼、驚愕しているところです。
 「鷹ノ巣道路」については、「新潟山形南部連絡道路」の一部を担い、地域の課題を解消するため、もっとも期待される事業です。また、新潟山形南部連絡道路は、新潟、山形の連結強化を図るとともに、東北中央自動車道や日本海沿岸東北自動車道等の高規格道路ネットワークを結ぶ交通軸の強化により、南東北全域の発展に大きく寄与する役目を果たす必要不可欠な路線であり、全線が整備されてはじめて効果を発揮します。
 当市においても、当該道路と一般国道287号南バイパス等とのネットワーク形成により、製造、流通、観光など、地域経済への効果に大きな期待を寄せています。
つきましては、ここに「新潟山形南部連絡道路」の早期全線開通にかける沿線住民と関係機関の熱意と期待を表明し、下記の事項の実施を強く求めます。

  1. 今般の事業再評価においては、「経済的な効果」のみを評価していることから、交通需要の集中している首都圏の社会基盤のみが推進され、地方の道路整備が取り残され、首都圏との格差は益々拡大していきます。地域ごとに異なる道路の持つ多様な効果を評価し、整備が遅れている地方の道路整備を優先すること。
  2. 国道113号「鷹ノ巣道路」は他に迂回路がなく、関係地域住民の生命を守り、新潟県のみならず山形県の発展に欠くことのできない事業であることから、関係市町村の意見を反映いただき、事業を継続するとともに、早期完成に向けて事業を強力に推進すること。


 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 平成21年6月19日

山形県長井市議会


 衆議院議長              河野 洋平 様
 参議院議長              江田 五月 様
 内閣総理大臣           麻生 太郎 様
 総務大臣                 佐藤 勉 様
 国土交通大臣           金子 一義 様
 内閣府特命担当大臣  与謝野 馨 様
 (金融・経済財政政策)
 内閣府特命担当大臣  甘利 明 様
 行政改革担当

 

この記事に関するお問い合わせ先

議会事務局 議事・調査係

〒993-8601
山形県長井市栄町1番1号
電話番号:0238-82-8021 ファックス:0238-87-3374


メールでのお問い合わせはこちら