菅首相は、10月1日の臨時国会冒頭の所信表明演説で、突然にして「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す。」と表明しています。
TPPは、関税撤廃の例外を認めない完全な貿易自由化であり、農林水産省の試算では、農業生産額が4兆1千億円程度減少し、わが国の食料自給率は、現在の40%から14%にまで低下すると予測されています。重要な農作物の関税が例外なしに撤廃されれば、地域環境保全などの多面的機能の喪失、農業・食品関連産業を中心とした地域経済の崩壊、雇用を失うことが懸念され、日本農業と地域経済、国民生活に与える影響は極めて甚大であります。
今年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」では、国家戦略として食料自給率50%の達成を目指すとしていますが、TPP交渉への参加はこの基本計画の内容と矛盾することも懸念されます。今求められていることは、この基本計画を達成するための具体的な行動であり、十分な検証と国民的議論がないまま参加することは、到底認めることはできません。
つきましては、食料自給率の向上と日本農業、地域経済を守るため、下記事項の実現を強く求めます。
記
- 早急に農林漁業者をはじめ国民各層との丁寧な協議を尽くし、「食料・農業・農村基本計画」の着実な達成に至る行程と具体的方策を明確に提示すること。
- 関税撤廃の例外措置を認めないTPPへの参加は、国内農業へ甚大な影響を与えるだけでなく、関連産業を極めて危険な状況に追い込む可能性が高いため、十分な検証と議論がないまま、拙速に参加しないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出いたします。
平成22年12月14日
山形県長井市議会
衆議院議長 横路 孝弘 様
参議院議長 西岡 武夫 様
内閣総理大臣 菅 直人 様
農林水産大臣 鹿野 道彦 様
外務大臣 前原 誠司 様
経済産業大臣 大畠 章宏 様
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更新日:2018年03月27日