長井ダム周辺施設・環境4ーその他
置賜野川
置賜野川は、最上川水系の主要な支流のひとつであり、その延長は22.65km、流域面積は約130km²にも及ぶ一級河川です。磐梯朝日国立公園に指定されている朝日山地の最高峰・大朝日岳のやや南、平岩山の南面を水源とし、木地山ダムを経て野川渓谷に至り、その後長井ダムへ流入しています。長井ダムを通った後は東ないし北東へ流路を変え、長井市街地を貫いて長井市成田地内で最上川に合流します。その流域の80パーセント以上が山地で形成され急勾配であることから、急流河川となっており、長井市平野地区を中心に扇状地を成し、最上川、置賜白川とともに長井盆地を形成した要因となった河川です。

上流部の渓谷は今も昔も侵食が著しく、中流部は堆積谷となっています。地質は、下流部を除いてほとんどが花崗閃緑岩です。急峻な地形であることから洪水が多く、近世中期以降だけでも1757年(宝暦7年)から1860年(万延元年)までに5度の大規模な洪水が発生しています。1769年(明和6年)の大洪水の後には、出羽・越後両国による堤防工事が行われた記録があります。昭和に入っても1967年(昭和42年)の羽越豪雨など、洪水による大きな被害が発生し、反対に日照りになれば渇水に陥ってしまうという河況係数の高い河川でしたが、菅野ダム、木地山ダム、そして長井ダムの建設により現在は安定した河川になりました。
古くから沿岸の農業用水として利用されており、一の堰と呼ばれる栃木(とちのき)堰、二の堰と呼ばれる九野本(くのもと)堰など、4ヶ所の固定堰が建設され、沿岸の農地に農業用水を供給していました。その恩恵は現在も変わることなく、周辺の田畑の水源として利用されています。
平山の締切堤防
平山の平泉橋すぐ傍にある締切堤防は、農民の生命をかけた水との闘いの象徴であり、決壊と補修を繰り返した歴史があります。置賜野川は宝暦7年(1757年)から明治38年(1905年)まで130年の間に5回の大洪水を引き起こし、中でも、宝暦7年の大洪水は被害も大きく、近隣の村々を荒廃させたため、藩や幕府から資金を調達し、
大規模な堤防の建設に取り掛かりました。長さ450mに及ぶ総石積み白い堤防は、野川の豊かな流れと調和し、壮観そのものだったといわれています。現在は上流にダムが建設されたため、野川の川床も10メートルほど下がりました。木連堰は、締切堤防の中ほどに取り入れ口があり、昭和40年代に新しい用水路が出来るまでの間、平山・小出・宮地区への重要な水と燃料(流木)の供給源でもありました。
この歴史的・文化的な遺産を残すべく、地域の人の手で維持管理が行われています。
野川分水口
平山の締切堤防よりやや上流にある分水口は、堰が三つ又に分かれ、周辺地域の田畑に農業用水を分配して供給する役割を担っています。分水口の周辺には桜が植生し、春には美しい桜を咲かせる隠れた名所です。


祝瓶山
長井市と小国町にまたがる祝瓶山は、広大な朝日連峰の中に単独で三角形の山容を見せる、極めて峻険な山です。その山容から東北のマッターホルンと呼ばれています。日本三百名山の一つに数えられ、隠れた名峰として登山客を楽しませています。祝瓶山周辺に降り注いだ雨水は野川となり、木地山ダム、長井ダムを経て長井盆地を潤します。

朝日連峰/大朝日岳
朝日町、西川町、小国町にまたがる、朝日連峰の最高峰、大朝日岳(1,870m)。 大朝日岳は直接的には長井盆地の水源ではありませんが、すぐ隣の平岩山(1,609m)が置賜野川の水源地の発端となります。この広大な山々が、人々の暮らしを支える水源地となっています。
ブナ原生林
長井ダムより上流にある木地山ダムは、正面に祝瓶山を臨み、また周辺にはブナを始めとする広葉樹が豊富に植生し、色とりどりに四季を映す風光明媚な環境にあります。木地山ダムは洪水調節、灌漑用水の確保、水力発電を目的として昭和32年度に工事着工し、昭和36年3月に完成しました。平成23年6月からは、これまでに木地山ダムが担っていた洪水調節機能を下流の長井ダムが受け持つことになり、木地山ダムは発電と流水の正常な機能の維持を目的とするダムとして運用されています。


野川渓谷
長井ダムに豊かな水を運ぶ置賜野川。その川の流れは、四季折々に美しい表情を見せてくれます。

木地山ダム
長井ダムより上流にある木地山ダムは、正面に祝瓶山を臨み、また周辺にはブナを始めとする広葉樹が豊富に植生し、色とりどりに四季を映す風光明媚な環境にあります。木地山ダムは洪水調節、灌漑用水の確保、水力発電を目的として昭和32年度に工事着工し、昭和36年3月に完成しました。
平成23年6月からは、これまでに木地山ダムが担っていた洪水調節機能を下流の長井ダムが受け持つことになり、木地山ダムは発電と流水の正常な機能の維持を目的とするダムとして運用されています。
木地山ダムの詳細はこちら → 木地山ダム(山形県HP)


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更新日:2023年01月12日